国立病院の未収金「生活困窮」が大半
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国立病院機構が全国で運営する病院の「医業未収金」が、今年1月時点で19億円以上に達し、その大半が患者の生活困窮に伴って発生していることが、厚生労働省が8月3日の「医療機関の未収金問題に関する検討会」に提出した資料から分かった。資料によれば、今年1月末時点で患者から回収できていない「医業未収金」は、146病院の合計で19億2,879万4,000円だった。このうち06年度内に新しく発生したのは11億2,329万5,000円で、同年度の医業収益(06年4月~07年1月)の0.193%に達した。医業未収金以外に債務者の経済的破たんにより回収が難しい「破産更生債権」も27億1,105万6,000円あり、これらを足した「未収金債権」の残高は総額46億3,985万円に達した。1病院あたりで3,178万円の未収金債権を抱えている計算だ。新規分11億2,329万5,000円の発生理由をみると、「生活困窮」が10億3,650万円と、全体の92.3%を占めた。「診療上のトラブル」に伴う未収金も2,062万7,000円(1.8%)あった(表)。生活困窮に伴う医業未収金は、昨年1月には9億3,504万7,000円だったので、単純比較すると1年間で1億146万2,000円増えたことになる。
■都立病院の個人未収金、06年度9.2億円
この日は東京都病院経営本部も都立11病院での「個人未収金」の発生状況に関する資料を提出した。それによると、入院や外来などで発生してから1年以上経つ個人未収金は、06年度末時点で総額9億2,765万8,000円だった。こちらも「経済的困窮」によるものが最多という。診療に伴う債務の消滅時効が5年から3年に短縮されたため、06年度の残高は前年度の13億850万8,000円から3億円以上減った。また、発生防止や回収強化策に伴う減少分も3,100万円あった。クレジットカード決済の活用や早期の電話催告などに取り組んだという。
未収金の最終的な負担者は誰?
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患者が治療費を支払わないまま行方不明になった場合などに発生した未収金は、最終的に医療機関で負担すべきか、それとも健康保険組合などの保険者が負担すべきか――。厚生労働省は8月3日、「医療機関の未収金問題に関する検討会」(座長=岩村正彦・東京大学法学部教授)の第2回会合を開催し、未収金の法律的な位置づけなどについて話し合った。厚労省は「最終的に医療機関の未収金になる」と結論づけ、従来の立場を崩さなかった。これに対し、診療契約の当事者は保険者と医療機関であるから、保険者は医療機関に対し、診療報酬の全額を支払う義務を負うとする見解に賛同する意見もあり、議論が一時紛糾した。岩村座長は「現行法の枠組みからすると、まず保険医療機関で回収に努力してほしい。努力しても回収できないならば、健康保険法または国民健康保険法上、保険者の側で徴収するということもあり得る」とした上で、「問題は、どういうことをすれば努力したといえるかだ」と指摘し、医療機関の回収努力を求めた。これに対し、畔柳達雄委員(弁護士)は「まさにその点が問題。努力した結果、それでも取れなかったらどうするのか」と強く迫った。厚労省保険局は「保険者が未収金を徴収できなかった場合、最終的には医療機関が未収金を負担する」と回答、岩村座長も「未収金を最終的に保険者が負担する義務はない。徴収義務を保険者が行うという理解だ」と述べた。また、岩村座長は「この検討会で法律的な問題を議論しても直接的な解決には結びつかない。第一に考えなければならないのは、未収金が発生するメカニズムを分析して、どうしたら未収金が発生しなくなるかであり、努力したにもかかわらず未収金が発生した場合にどうするかは別問題」と述べ、法律的な解釈よりも未収金の発生防止や回収努力の必要性を強調した。
先日,開業医療機関で夜間当直をしており,お子さんの頭部打撲の相談する電話がありました.心配でしたら受診してくださいと伝えましたが,「今持ち合わせがない」とのこと,それでしたらと公立病院の受診を勧めました.未集金を医療機関がかぶることになれば,受診をお断りするしかない状況になります.来年からの75歳以上の後期高齢者を対象とした医療制度の導入で,ご高齢の方の未保険および医業未集金問題が危惧されます.
2007-08-08
医業未収金問題
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