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中央政治大学院秋季特別講座」IV(平成13年10月31日)
『少子高齢化時代の政策課題』 舛添 要一 参議院議員
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アメリカでも共和党は、今のブッシュ政権ですけれども、自分で張れということですね。民主党は、国がある程度やる。今、ヨーロッパ、EUの国のうちのほとんどが社会民主党とか、労働党が政権をとっています。ヨーロッパは国がセーフティネットをやっている。私が驚いたのは、若いときパリ大学で勉強するため、フランスへ行ったとき、最初に言われたことは、保険に入れということなんです。外国人の学生に安いおカネで、ちょっと入れと。日本の健康保険と同じです。それから、サッチャーさんに変わる前後、イギリスでの学会に行っていたら、外国の学者で病気になったり、倒れたりする人がいる。それさえ完璧にイギリス人の税金で面倒を見るんです。それでイギリス人が、「だから、俺ら、カネがなくなったんだ」と言って、それでサッチャーがやったんですけれどもね。ヨーロッパの社会民主党系が強いというのは、デンマーク、スウェーデンが典型的ですけれども、税金で救うということです。介護保険をやっているのはオランダとドイツだけです。デンマーク、スウェーデンは完璧に国がやる。しかし、そのコストは消費税25%です。100円のものを買ったら、25円、1万円の買い物をしたら2500円の消費税。日本は5%でも高いと言っているんですから。でも、介護をやった自分の経験から言うと、25%とられてもいいから、やってほしいという気がしますね。そのほうが楽です。つまり、母親の介護で、自分がどれだけカネをかけたかを計算してみたら、消費税25%よりもっとカネかかりましたから。スウェーデンやデンマークの人たちは、なんとか高い税金、安くしてくれないかと言っているかと言ったら逆で、もうちょっとやってくれるなら、もっと払ってもいい。一切、貯金もいらない、ということです。アメリカの民主党はどうかというと、クリントンが8年間政権にあった。クリントンがヒラリーの奥さんと2人で選挙に出たときの公約は、4000万人も健康保険に入っていない人がいる。メディケア(米国の高齢者用医療保険制度)とか、メディケイド(低所得者医療保険)とかに入っていない。日本で言うと、健康保険証を持っていない。「私が大統領の間に全部持たせる」と言ったんです。8年たちました。どうなったか、4000万人が相変わらず持っていない。つまり、セルフ・ヘルプというのは自助努力。日本は、国民皆保険、健康保険証を持っていますね。アメリカではそれを持たない。持たない限り、毎月の掛け金も払わない。ただ、自分で生命保険会社とか、何とか損保会社と契約を結んで、病気になったら、そこから払う。どうですか、皆さん。一切、健康保険制度をやめます。完全に自助努力で、好きな生命保険会社、好きな損保に入ってやりなさいと。私の勘だと、日本人はそれは嫌いだと思います。やはり国がある程度やってくれたほうがいい。というのは、金持ちはいいんです。絶対、金持ちはそのほうがいいんだけれども、永遠に金持ちであるわけはないし、健康な人はそのほうがいいんです。だけど、永遠に健康であるかどうか分からない。最悪の事態を考えて、貧乏のどん底に落ちて、難病・奇病にかかったとき、 やはり保険でないと救われない。そうすると、国民皆保険というのを守っていくのか、守っていかないのかというのは、非常に大きな、そこの議論がなくて、「国民皆保険、いいよ」ということでみんなやっていて、私はいいと思うんです。
国民の医療費30兆円、ムダをなくする制度改革を医療の問題にまた飛んでしまいましたけれども、皆さん方の個人負担、窓口負担、1割から2割へ、今度2割から3割に行きますね。「とてもではないけど、こんな不景気のときにやめてくれ」という意見があるんです。だけど、まったく違う見方をすると、歯医者さんのケースです。歯医者さんは、自由診療、保険がきかないと、必ず言われますね。「これ、保険きくけど、すぐ駄目になる。プラチナとか金とか、5万かかる。だけど、いいよ。どちらをとりますか」といって、高いなと思うけれども、5万とか7万とか払っていますね。これが自由診療方式なんです。自由診療方式で何が起こったかといったら、それだけのカネを窓口でとられるなら、相当うまいお医者へ行こうといって、お医者の選別が始まったんです。上手でちゃんとしたお医者のところはどんどんはやって、駄目なところは潰れていったんです。だから、そういう要素を少し入れてもいいかもしれない。これは国民が決めることです。小泉総理の構造改革というのは、自立した人間をつくるということが基本なんだけれども、社会保障に関する限り、それぞれ自由にどこかの保険会社と契約しなさいというのは、不安をかき立てることになになりかねない。そうすると、コストの問題なんです。何故、2割負担、3割負担をやるのかというと、国民医療費が30兆円の時代です。老人医療費が10兆から11兆。国家予算が80兆から85兆ですから、これと比べたときに、30兆はいかに多いか。老人医療費が10兆円、消費税が1%で、2.5兆円です。そうしますと、消費税4%で20兆円です。すべての老人が一切病院にかからなければ、消費税の5%を1%に下げることができるということです。だから、今回の改革というのは、老人医療費を含めて、医療費の無駄遣いを避けるためにどうするか。タダなら誰もが病院に行く。3割負担だったら、本当に風邪でも引かないと行かない。
私は介護をやっていて、車椅子を押したりして腰痛になる。治療に整形外科へ行くと元気なばあさんたちばかりです。しばらく顔を見ないと「本当に病気になったから来ない」というんです。元気なときに来るのが病院で……(笑)。よくテレビも見ているんですよ。「舛添さん、昨日、田嶋陽子に負けてたね」とか言うわけですからね(笑)。
中略
それから保険か税金かという問題は、介護保険、医療保険についてもそうです。日本の場合は、税金の原則と保険の原則がごちゃ混ぜになっている。健康保険も半分入っている。医療保険、大体介護に5兆円近くおカネがかかるのは、半分は税金、半分は保険。全部ごちゃ混ぜになっているからです。だから、保険か税金かという原理ももう少し議論しないといけないんですが、年金はいま二階建て方式になっています。
以下略
舛添要一氏の中央政治大学院秋季特別講座」IV(平成13年10月31日)からです.皆国民保険制度,自由診療(混合医療)について述べられておりますが,国民が決めることと主張しております.彼が大臣在任中に国民的議論で将来の日本の医療のあり方を決定していただきたく思います.
公的保険適応を制限したアメリカ型の民間保険を導入する混合医療制度か?それとも税金あるいは保険料を増やし今の公的医療保険制度を堅持するか?
国民的合意無しに,経済財政諮問会議の主導でのアメリカ型の医療への道だけは避けて下さい.
2007-08-27
厚生労働大臣舛添要一氏の考え
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