2007-10-11

ただ謝ればいいという問題ではない!


糖尿病見逃して手術 脳障害に
NHKニュース10月11日 14時5分
http://s01.megalodon.jp/2007-1011-1723-23/www3.nhk.or.jp/news/2007/10/11/d20071011000084.html

おととし、徳島市の徳島大学病院で、女性患者が糖尿病であることを見逃して必要な処置をしないまま股関節の手術をしたため、肺の血管に血の塊が詰まって、一時呼吸や心臓が止まり、脳に重い障害を負っていたことがわかりました。病院は、適切な処置をしていなかったことを認めたうえで患者側に謝罪したということです。徳島大学病院によりますと、おととし6月、徳島県内の50代の女性患者が股関節の手術を受けましたが、およそ2週間後、血の塊=血栓が肺の血管に詰まる「肺血栓塞栓症」を発症し、一時、呼吸や心臓が止まって脳に重い障害を負い、現在もリハビリを続けているということです。徳島大学病院は手術前に血液検査を行いましたが、女性の糖尿病を見逃していました。股関節の手術の際は血栓ができやすく、特に糖尿病の患者を手術する際には、肺血栓塞栓症を発症しやすいとされていて、専門の学会が予防のためのガイドラインを作成しています。ガイドラインによりますと、女性は肺血栓塞栓症が発症する危険度が最も高い状態でしたが、徳島大学病院はこうした患者に必要な薬の投与などは行っていなかったということです。徳島大学病院は、適切な処置をしていなかったことを認めたうえで「糖尿病を見逃すなど、股関節の手術で病院側に過失があったことが明らかになったため患者側に謝罪した。再発防止に努めている」としています。

ニュースを聞いてDMが肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)の危険因子なのか?予防ガイドラインを調べましたが、私が勉強不足で調べきれないのかもしれませんが、2004年のダイジェスト版では危険因子にDMは入っておりません(一般外科の付帯事項の危険因子としてあげていますが)。ちなみに股関節手術というだけで高リスクです。インフォームド・コンセントをしていないこと、間欠的空気圧迫法あるいは低用量未分画ヘパリンを使用しなかったことが問題であり、DMと肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)を直接リンクさせてはいけません。
DMがあって肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)がおきれば、すべて謝罪しなければならなくなります。大学病院はただ謝罪だけで済みますが(自分の懐は関係ありませんが)、私的医療機関では経済的負担および社会的信頼が失われ、公的病院では医師個人の責任に関わります。本質をしっかり分析し謝罪していただきたく存じます。


人工股関節全置換術,人工膝関節全置換術,股関節骨折手術
1. 股関節骨折手術については,理想的な予防法がないため,上記の表を参考として個々の症例に応じた予防法を考慮する。
2. 股関節骨折は,受傷直後より深部静脈血栓症が発生する可能性があり,早期手術,早期離床が非常に重要である。
3. 間欠的空気圧迫法を手術後に使用する場合は深部静脈血栓症の有無を事前に確認すべきであるが,それが困難である場合にはインフォームド・コンセントを取得してから施行し,また肺血栓塞栓症の発症に十分注意を払うべきである。

ガイドラインの危険因子にDMがあれば、お許しください。

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