2007-09-07

支援を呼びかけましょう!(医師の労働環境の改善のために)

医師の過労死裁判、控訴審始まる
http://megalodon.jp/?url=https://www.cabrain.net/news/article.do%3fnewsId%3d11759&date=20070907114840
東京都内の病院に勤務していた小児科医・中原利郎さん(当時44歳)の過労自殺をめぐり、勤務先だった病院を運営する立正佼成会を相手取って遺族らが損害賠償を求めた民事裁判の第1回控訴審が9月5日、東京高裁であった。原告の妻のり子さんは、中原さんの業務の過重性と病院側の安全配慮義務を問い、「夫が担った業務の実態をつぶさに検討いただくとともに、善良でまじめな小児科医がどのような思いで日々診療に当たっているのかを思いをめぐらして厳正な裁判をして欲しい」などと意見陳述した。のり子さんは意見陳述で「(今年3月29日の)地裁の判決では、夫が心身をすり減らしながら従事した月に8回にも及ぶ当直の過重性が全く正当に評価されておらず、大変失望した」と、控訴に至った経緯などを述べた。その上で「この判決の2週間前(3月14日)に出た行政裁判の判決では、業務の過重性とそれによるうつ病の発症が正当に認められたにもかかわらず、(民事裁判の)判決ではこれについて全く逆の判断がなされ、さらにはうつ病発症の原因が、個人の脆弱(ぜいじゃく)性と家庭の問題にあるかのごとく、すり替えられていたことは、全く納得がいかない」と語った。また、のり子さんは「この民事裁判を継続するにあたり、過重労働が無かったと主張し続ける病院の体質こそが、夫の心身を苦しめ続けたのだ、と改めて感じている。月に8回の当直が過重でないという病院側の主張が正しいのなら、一体どのくらい働けば過重と認めるのか」と心境を吐露。そして「職員の健康管理・安全に配慮し、労働環境を整備し、そして二度と同じ過ちを繰り返さないように(病院側の)反省と心からの謝罪を求める。夫が担った業務の実態をつぶさに検討し、善良でまじめな小児科医がどのような思いで日々診療にあたっているのか、思いをめぐらして頂き、厳正な裁判をして欲しい」と訴えた。中原さんは1999年1月、立正佼成会附属佼成病院(東京都中野区)の小児科部長代行に就任。当時、小児科スタッフは6人から3人に半減し、責任者となった中原さんに業務の多くが集中することになった。小児科医の1カ月あたりの平均宿直回数は3.49回だが、中原さんは2倍に近い6.67回に達し、同3月には8回にも及んだ。こうした業務上の過重な肉体的精神的負荷により、うつ病を発症。8月16日、病院の屋上から身を投げて亡くなった。中原さんの過労自殺をめぐっては、行政訴訟で東京地裁が「うつ病になる直前の99年3月には、同僚2人の退職が決まり、宿直が8回に増え、休日は2日しかなかった。後任の医師が確保できず、管理職として強いストレスがかかっていた」と業務の過重性を認定。その上で「うつ病の原因として業務外のできごとは見当たらず、病院での業務が精神疾患を発症させ得る危険性を内在していた」と、業務負担とうつ病発症との因果関係を認め、労災認定した。しかし、同29日の民事裁判では一転して「宿直中に仮眠ができないほど患者はなく、一定の余裕があった」などと判断。「宿直が8回に増えたとしても過酷ではなかった。業務が原因でうつ病を発症する危険な状態だったとはいえない」として、業務負担とうつ病発症との因果関係を認めず、原告の訴えを退けた。遺族ら原告団は、月8回にわたる医師の当直の過重性をどう判断するかという面で、行政裁判、民事裁判ともに同様の争点でありながら、全く正反対の見解が示されるという異例の事態に直面。民事裁判では「正当な判断が下らなかった」などとして、今年4月に東京高裁に控訴した。行政裁判では、厚生労働省が控訴を断念して労災が既に確定しており、今後、控訴審で医師の当直の過重性と病院側の安全配慮義務について、司法判断が下されると見られる。次回控訴審は11月19日の予定。
更新:2007/09/05   キャリアブレイン

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