福島地検が控訴断念ということで,無罪が確定しました。
加藤克彦医師の名誉回復され,本当に良かったです。
あらためて,亡くなられた女性、そしてご遺族の皆様方に対し、医療に従事するものとして心より哀悼の意を捧げます。
大野病院事件、検察が控訴断念 産科医の無罪確定へ
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008082901000451.html
2008年8月29日 17時10分
福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医加藤克彦医師(40)を無罪とした福島地裁判決について、福島地検は29日、控訴断念を決めた。無罪が確定する。
医療行為をめぐって医師が逮捕、起訴され、医療界の猛反発を招いた異例の事件は1審で終結することになった。
福島地検の村上満男次席検事は「裁判所の判断を覆すのは困難と判断した」と説明。地検は、主張の根拠となる臨床例の提示や、新たな鑑定人確保などは難しいとの結論に達したとみられる。
公判では、子宮に癒着した胎盤をはがし続けた判断が妥当だったかどうかが最大の争点になり、20日の判決は「標準的な措置だった」と過失を否定した。
「直ちに子宮を摘出すべきだった」とした検察側主張に対し、判決は「根拠となる臨床症例を何ら示していない」と退け、立証が不十分と指摘。死亡を警察に届けなかったとされた医師法違反罪も含めて無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。
(共同)
2008-08-29
無罪確定です。
2008-08-07
第1回 全国医師連盟 国会議員アンケート結果 (速報)
http://doctor2007.com/enq1_0.html
第1回 全国医師連盟 国会議員アンケート結果 (速報)
2008年6月中旬、医学部の定員削減を定めた1997年の閣議決定が事実上撤回され、医師養成数増加に転じる方針が固まったことが報道されました。この歴史的な政策転換を受け、私たちは、国会議員の皆さまが、わが国の医師数と医療費についてどれほどの規模が望ましいと考えておられるのか、お聞きしたいと考えました。急なお願いにもかかわらず、多くの国会議員の皆さまが回答をお寄せくださいました。誠にありがとうございました。会員一同篤く御礼申し上げます。
調査方法について
対象:衆議院議員480名・参議院議員242名、計722名
方法:2008年7月14日に、5つの設問に参考資料を添付したアンケートを郵送した。また、メールアドレスがある場合はE-mailでも同様のアンケートを送付し、7月25日を締切として回収した。回収方法はE-mail、Fax、同封した返信用封筒による郵送のいずれでも可とした。
解析:7月30日午前中までに到着した88名の回答のうち、5問のいずれかに何らかの回答がなされた86名の回答を有効回答として解析を行った。グラフ作成においては、複数回答したものは重複を許さず(例:1人で記号3つ回答した場合、各項目0.33人でカウントする)集計した。各党の解答総数に対する百分率結果をグラフに付記した。
なお、7月30日午後以降に到着した回答を加えて解析した結果は、9月下旬をめどに確定版として発表する予定である。
アンケート結果: 以下参照
http://doctor2007.com/enq1_0.html
2008-08-06
「福島県立大野病院事件判決に際して、全国医師連盟の声明」
http://www.doctor2007.com/product9.html
「福島県立大野病院事件判決に際して、全国医師連盟の声明」
はじめに、今回の手術でお亡くなりになられた方、そして御遺族の皆様方に心より哀悼の意を捧げます。
平成十六年十二月十七日、福島県立大野病院で、患者さんが帝王切開術中の大量出血によりお亡くなりになりました。この手術を担当した産婦人科医は、業務上過失致死罪(刑法211条1項)および異状死の届出義務違反(医師法21条違反)容疑で逮捕、起訴されました。本年八月二十日には、一審判決の言い渡しが予定されています。
予期しない医療事故が生じた場合、後遺症を負った患者さんや御家族、あるいは患者さんが不幸にして亡くなられた場合の御遺族には、耐え難い悲しみが襲いかかります。同時に、現実生活の上で経済的困難が大きく立ちはだかります。
現在の医療技術や診療環境の実際においては、どうしても不幸な医療事故をゼロにすることは出来ません。
不幸な医療事故が起きたときには、それが医療従事者による過失によるものだったのか、あるいは人の力では如何ともし難い結果だったのかを問わず、こうした患者さんや御家族・御遺族を社会的に慰撫し、経済的に救済する必要があります。
私達医師は、国によってその制度が設立されることを望み、また制度設立のために協力を致したいと思います。
もう一つ重要なことが有ります。
この事件では、担当医の逮捕、起訴という衝撃もあり、多くの医療団体及び医学系の学会から「これでは医療が出来ない」との抗議声明が出ております。
多くの医師達は、本件訴訟において検察側・弁護側の立証から明らかになった診療経過を検討し、本件担当医と同じ診療条件に置かれた場合、最善の医療を施しても助け得なかったのではないかと判断しています。
また、日常診療における予期しない死亡事故が起こったとき、最善の医療を行っていても、不幸な結果のみで過失犯として断罪される危険を強く感じました。
私達は、本件の逮捕、起訴が誤りであったことを確信しています。
私たち医師は、救命救急活動中や日常診療中に予期しない事態に遭遇することはまれではなく、その際、判断を瞬時に行わなければ患者さんの死に直結します。その一連の医療行為を後で検証すれば、正しい判断であったかどうか不明な部分は必ず出てきます。
しかし、それは後方視的検討によって浮かび上がる問題点であり、今後の医療の改善に役立つ情報ではあっても、その当時に通常の医師として為すべきことを為したかという過失認定とは異なるものです。従って、救命活動などの緊急時の医療行為は、多くの場合、業務上過失致死罪の成立が阻却されると考えます。
医療事故に対して無闇に刑事訴追を行うことは、国民と医療者との対立を深め医療現場の荒廃を生み、その結果が国民には、十分な医療を受けられないという不利益となってはね返ります。
福島大野病院事件のような事件を、二度と繰り返してはなりません。国民に必要な医療を守り医療事故から救済するために、全国医師連盟は以下の事を主張いたします。
医療過誤の有無を問わず不幸にして予期せぬ医療事故に会われた患者さん、御家族、御遺族への社会的慰撫と経済的救済を行う制度の設立を強く望みます。私達医師は、その救済制度実現に協力いたします。
また、救命活動時の医療行為に対する刑事罰適用は限定し、刑事訴追を回避する法的整備を望みます。
これらの救済制度の実現と刑事訴追回避のための法整備は、国民と医療の未来の為に、是非とも必要な措置であると信じます。
平成二十年八月五日
全国医師連盟